旱魃、あるいは最大の厄災
旱魃、あるいは最大の厄災
秋雨前線が活発化して、強い雨が降っている日に、旱魃(かんばつ)(drought)の話はそぐわない気もするが、英国のインデペンデント紙(Independent)が一昨日(06年10月4日)付けで伝えるところによれば、英国の「Met Office’s Hardley Centre for Climate Prediction and Research」が、気象異変(climate change)の結果旱魃が広がり、今世紀末までに地球上の土地の半分が、農業生産ができない砂漠になってしまっているだろうとの予測を発表した。
しかも、この予測はまだ甘くて、砂漠化の進行はもっと急激に進行するという意見も、科学者の間から出されているとのことだ。
We are talking
about 30 per cent of the world’s land surface
(are) becoming essentially uninhabitable
in terms of agricultural production
in the space of a few decades.
世界の土地の30%が、農業生産という意味において人間が住めない地域に、これからの2,30年の時間枠のなかで、なってしまうだろう.
この記事には書かれていないが、旱魃の脅威に晒されている地域として、オーストラリアと米国中西部も挙げられているから、「先進諸国」の中でも直接の影響を受ける国が出てくる。しかし、この30%の大半は、アフリカである。
アフリカとは本当についていない地域だと、遠く離れたところから私は「同情」だけしている.なお、「だけ」、と書いたのは、支援のために何一つしていないからである。ヨーロッパ諸国の植民地として荒らしまわられ、第二次大戦後、名目上の独立を果たしたが、旧宗主国が取るだけとって後は投げ出してしまったために、うまく離陸できなかった国が多い。そして、今回の気象異変騒ぎである.先進諸国の馬鹿騒ぎのおかげで出てきた気象異変の、最大の犠牲者がアフリカとなる.先進諸国から、二度、踏んだり蹴ったりされることになる。
作物が取れない砂漠になってしまえば、そこに暮らしてきた人々は、死ぬか、難民となって他の場所に移動するしかない。ユーラシア大陸とアメリカ大陸はこれらの難民を受け入れられる余地を持っているのだろうか。
私もその中の一人としての「俺達」は、戦後60年、特にこの40年、とんでもないことをしでかしてきたのだ。もし、地球傷害の罪を裁くというものが国際法廷であれば、俺達全員「過失地球傷害罪」で有罪はまちがいない。なお、今から以降、地球への傷害を続ける行為は、もう「過失」ではなく、「故意」となる。相手を傷つける結果になるであろうことを十分承知の上で犯行に及んだ、と裁定されることになる。
(06.10.06 篠原泰正)