連載-3- なるほどこれでなっとく!「著作権」ビデオゲーム(コンピューターゲーム
スペイン知的財産事情
この原稿は、スペインと日本間の知的財産権を専門に扱う法律サービス会社であるリーガルスタジオ社の真覚久美子氏とカルロス・アバディン氏(弁護士)の著作です。
連載-3- なるほどこれでなっとく!「著作権」ビデオゲーム(コンピューターゲーム)
No.250 Noviembre 2007
世界で初めて家庭用ゲーム機が誕生してから今年で25年。アメリカで始まったこの業界も今ではすっかり日系企業が目立ちます。中でも今年の6月25日、ここ数年ヒット商品を出し続けている任天堂の時価総額がソニーを抜いたことは、任天堂の取扱商品のほとんどがビデオゲームであることから、日本製品の世界的な人気の高さを表していると言えるでしょう。ビデオゲームもアニメやマンガ同様、子供用だけではなく頭脳ゲームや簡単なボタン操作で遊べるものが増えて、世界中の老若男女が楽しめる内実共に充実した、海外輸出市場におけるコンテンツ産業の中核となる、日本の誇れる知的財産権です。一般的なのは家庭用ゲーム機や、ゲームセンターで遊ぶものですが、最近ではオンラインゲームというネットを通して世界のプレーヤーと一緒に遊べるものもあります。
ニュースを見て驚かれた方も多いと思いますが、10月4日、アメリカで起きた著作権裁判の判決によると、24曲の音楽ファイルをインターネット上で違法に共有したとして、ミネソタ州在住の女性に罰金22万ドル(約2,500万円)の支払いが命じられました。1曲に付き約100万円の罰金です。この件で私たちが学ばなくてはいけないことは、インターネットを使うときのルールやマナーではないでしょうか?「ネットで不法な行為をしても、皆やっている事だし、きっと自分は大丈夫」と思っていても今回の件で、警察は必要であれば誰がいつ何をしたかを突き止め、罰することができるということがはっきりしました。
一方、ビデオゲームを無料でダウンロードして、非営利目的で個人が楽しむことは合法とされていますが、多くの場合パスワード取得のためメールアドレスを含む個人情報を記入しなくてはなりません。ここで要注意なのは、このように収集された個人情報は多くの場合、本人に無断で売買されることです。その結果、spam(スパム)という営利目的のメールを無差別に日々大量配信されたり、あなたのコンピューターのハードディスクにsnifers(スニファーズ)のようなソフトを勝手に入力し、あなたのコンピューターのハードやデータに危害を及ぼしたり、またそのゲームをコピーして友人に貸したため、その人のコンピューターにも危険が及ぶかもしれません。これらのことは共有ファイルを使って遊ぶゲームの場合も同様です。ゲームソフトの価格が高いとは言え、このような個人的な損害とゲームメーカーや権利者に及ぼす経済的損害の上に、今回のアメリカ人女性のようなことも起きうる可能性を改めて認識すべきです。
オンラインゲームやダウンロードして買うゲームがオリジナルかどうかを見分けるには、メーカーのコピーライト表示や事前に利用規約に合意する必要がある、ユーザーサポートがあることなどが挙げられます。お金を払うソフトだからと安心するのではなく、このようなことをチェックすることも大切です。
インターネットや街頭で売られている海賊版ゲームはCDやDVDの形態が多く、最新作が安く買えるということが魅力です。中には何十ものゲームが1本になっているものや、その機種では発売されていないゲームが遊べるものなど、オリジナルには無いような内容のものもあります。ところが説明書が入っていないことは元より、データが入っていなかったり、関係のない映画などの映像のみが入っていることもあり、泣き寝入りになるのもよくあることです。
ゲームの弊害が報道されることもありますが、指を細かく動かす必要のあるビデオゲームが老人痴呆症の予防に効果があるという報告もあります。秋の夜長、家族そろって一緒にゲームをするのも良いコミュニケーションになるのでは。正規のソフトで大手を振ってお楽しみください。