事実を知る、あるいは気象異変
事実を知る、あるいは気象異変
本年(06年)1月30日、英国政府が地球温暖化(global warming)に関するレポートを発刊した。表題は「危険な気象変動を避ける」(Avoiding Dangerous Climate Change)。このレポートの序文で、英国のトニー・ブレア首相(Prime Minister Tony Blair)が書いている:
It is clear
from the work presented
that
the risks of climate change
may well be greater than we thought.
ようやく事態の深刻さに気がついたか、とか、その割には対策が遅れているではないか、と言いたいところだが、率直に述べているところは認めていい。
このレポートは1年前の2月に英国気象庁(UK Meteorological Office)主宰の会議で提出された科学者達の報告をまとめたものである。この中で、南極(Antarctic)とグリーンランド(Greenland)の氷床(ice sheets)が溶けはじめているのではないかと懸念され、もしそうなれば海洋の高さ(sea levels)は5メートル近く上昇することになると見積もられている。
懸念されているのは、以前にも書いたが、この異常気象はすでに回復不能地点を過ぎてしまったのではないか、というところだ。仮にそうだとしても、もはや手遅れだ、何をしても無駄だから、最後の日が来るまでドンチャン騒ぎで酔いつぶれていよう、というわけにはいかない。あらゆる対策を尽くすべきであろう。
事実をできるだけ正確に知ること。これが生き延びるための出発点である.事実を知るのが怖いから、事実を述べると叩かれるから、目をふさいでおこうという態度は、死を招くことになる。
このようなレポートは日本から出したかったが、そのようなことは、南洋の島国の天然ボケの集団には望むべきも無いところなのだろう。
(06.2.4 篠原泰正)