記事・コラム

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マグロ、あるいは刺身よさようなら

マグロ、あるいは刺身よさようなら

日本名は覚えていないが英語で「southern bluefin tuna」(青背びれマグロ?)と呼ばれている高級マグロの日本全体での水揚げが、来年から半分に減らされるとのことだ.国際協定で約束した以上に捕獲してきたことがばれて、制裁を兼ねて減らされたらしい.正確にいえば、国際会議で減らすことに合意させられた。

Japan

has agreed

to nearly halve its annual catch of southern bluefin

tuna

after admitting

that

years of overfishing

had left stocks at dangerously low levels.

Guardian October 17, 06

*海で生存している食糧用魚を英語では「ストック=在庫」とみなすと言うことを始めて知った。かわいそうにマグロも彼らからみれば、人間に奉仕する単なるストックというわけだ。ここらあたりが私としては、どうにも付き合いかねる感覚である。

なぜ約束以上の量を捕獲しているのがばれたのか、オーストラリアの調査マンが、日本で販売されたマグロ刺身の量が捕獲協定より多い事を探り出したらしい。大変な努力だ。

The overfishing

was uncovered

when

Australian investigators

found

the amount of tuna sashimi

being sold in Japanese market

was more than double its agree quota.

(引用―同上)

魚は再生可能なありがたい天然資源であるが、捕りすぎると再生しなくなる。そのようなことは誰でもわかっているが、今、この時点でのお金儲けのために、捕りまくってしまうのが人間の悲しいところである。

マグロは従来欧米社会ではそれほど重視されてこなかったが、近年の健康食ブームと「狂牛病怖い」のおかげで、刺身、すし、などの魚料理に注目があつまり、品不足になってきている。自分達に関係するとなると、ギャーと大声で騒ぐのがアングロ流だから、マグロも槍玉に挙げられたわけだ。「サシミ」、「スシ」を世界に広めたおかげである。

捕りすぎてマグロが世界の海から消えてしまったら、それこそすし屋に行っても卵焼きばかり食う破目になるだろう。ひ孫の代にはマグロを食べたことがない日本人が出てくることになる。その前に、捕獲数がへれば当然価格が上がるから、市場には出回っても、われわれの口には届かないことになる。

石油や天然ガスや真水だけでなく、小麦粉、とうもろこしだけでなく、魚も世界で取り合いになるわけだ。魚を食べ続けるには、瀬戸内海の口、紀伊水道、豊後水道、関門海峡に巨大な網をかけて、内海全部を養魚場にするのが、残された唯一の方策ではなかろうか。

(0610.23 篠原泰正)