グリーンテクノロジー出願に審査優先レーン
グリーンテクノロジー出願に審査優先レーン
2009年12月10日
今週月曜日(12月7日、2009年)、商務省のロック長官(Gary Locke, Secretary of Department of Commerce)が、米国特許庁でグリーンテクノロジー関連の特許出願を優先的に審査するパイロットプログラムを開始する、と発表しました。
その目的は、ロック氏の“アメリカの競争力は発明(innovation)に依拠しており、その発明は創造的アメリカ人による新技術の開発にかかっている“の言葉どおり、今もっともホットなグリーン技術-太陽光パネルから電気自動車のバッテリーまで関連技術のすべて-に関する出願の審査を早め、市場での製品化を早期に実現し、ビジネスの成果をできるだけ早くもたらすことで発明者を刺激し、かつ、市場と雇用を活性化しようとするところにあるようです。
商務省の知的財産担当次官兼特許庁長官であるカッポ氏(David Kappos)も、このパイロットプログラムによって「グリーン発明 green innvation」を素早く市場に導入できるようになるだろうと述べています。
このパイロットプログラムは、まず今から出願される3,000件の審査で行い、次いで、グリーン技術関連で未審査のまま積み上がっている2万5千件を対象にするようです。
現在、米国特許庁へ出願されたものは、30ヶ月手付かずで積まれたままで放って置かれ、その後10ヶ月の審査期間を経て決着するのが平均的な時間との事ですから、合計40ヶ月、3年と4ヶ月待たねばなりません。その時間を12ヶ月に縮めるのがこのパイロットプログラムの目標とされています。もっとも、このプログラムの実施は現在の審査体制の中で行い人員を増やすことはしない、との事ですから、他の分野の出願審査にしわ寄せが来るとも思われます。
以上は、米国商務省/特許庁の新聞発表、および、ニューヨークタイムズとCNETの記事を参照して記しました。別の報道によると、昨年(2008年)からグリーン技術関連の出願が急速に増えているとの事ですから、この分野がこれからもっとも激戦の場になることは間違いのないところでしょう。出願から登録まで1年で出てくるとなると、出願が公開される1年半後よりも前となるので、状況のウォッチも気合を入れなおす必要がありそうです。
(篠原泰正)