連載-2- なるほどこれでなっとく!「著作権」アニメとマーチャンダイニング
スペイン知的財産事情
この原稿は、スペインと日本間の知的財産権を専門に扱う法律サービス会社であるリーガルスタジオ社の真覚久美子氏とカルロス・アバディン氏(弁護士)の著作です。
連載-2- なるほどこれでなっとく!「著作権」アニメとマーチャンダイニング
No.249 Octubre 2007
今日、日本のアニメとマンガは世界的な産業になっています。日本のアニメの特徴は、ほとんどの作品が、週刊誌などで長期間連載されたマンガを原作にしていること。その結果、ストーリー性がしっかりした作品が多くなっています。
スペインでも「アルプスの少女ハイジ」や「マジンガーZ」で育った世代が親になり、また日本アニメを放送していないテレビ局は皆無に等しいので、家族で楽しむ最も身近な日本文化となっているとも言えるでしょう。
「マンガ」や「アニメ」は世界共通語で、世界中で日本がどこにあるか知らなくても、ポケモンを知る人は多いですし、愛知博で行われた日本のマンガ・アニメの登場人物になりきる「第3回世界コスプレサミット」ではスペインを含む7か国40名が参加、EXPOドームの3,000席は満員御礼でした。
そんな流れで最近増えているのがマーチャンダイジングと呼ばれる商品群。
マーチャンダイジングとは商品計画、商品化計画という意味ですが、ここではライセンスを受けて生産された商品を表します。例えばアニメのDVDやスペイン語に翻訳されたマンガや関連製品。最近では輸入品だけではなくライセンスを得てスペインで作られた「ドラえもん」や「ハム太郎」のドリンクがスーパーに並んでいたり、スペイン市場で最も人気がある玩具のひとつがバンダイの「聖闘士星矢(セイントセイヤ)のフィギュアであることもその人気を表しています。
しかしこのような人気は反面、作者・メーカー・販売元などの権利を無視したニセモノブランドなどで有名な「模倣品」という特許権・実用新案・意匠権・商標権を侵害する製品や、音楽・映画・放送番組・ゲームソフトなどの著作権を侵害する「海賊版」などを生み出しています。これらの製品は、品質が保証されておらず、安全面で問題があったり、音や画像の品質が悪かったりすることが往々にしてあり、権利侵害の上に消費者に直接的な被害をもたらす問題を起こしています。
では具体的にはどんなことが起きているのでしょう?例えば、ネット上では
日本で放送されたばかりのアニメシリーズがすぐにスペイン語字幕つきで公開され、中にはダウンロードしなくても好きなときに山ほどあるリストから好きなものを無償で見られるサイトもあります。また最近はスペイン各地で行われている「マンガサロン」で販売されている商品のほぼ70%が模倣品や海賊版で、店舗でも本物とニセモノが一緒に並んでおり、深刻な問題になっています。当然ながらこれらを売ることも買うことも違法です。しかし中にはパッケージまで似せて作る悪質な例もあり、気をつけなくては分かりません。
そこで例として日本のオリジナルのフィギュアを含むおもちゃの簡単な見分け方をご紹介します。おもちゃの場合、「ST」という日本玩具協会の安全保証マークがついていることです。これはヨーロッパのCEマークに該当するもので、日本製品に義務付けられています。またドラゴンボールなど特定の商品には著作権者の証紙(小さなシール)が外箱に貼られていますので、メーカー名の表示とともに、本物を見分けるひとつの目安として是非スペインの方にも教えてさしあげてください。
ひとりひとりが知的財産権法制度の意義や重要性について本当に認識していくこと。これが日本経済を大きく脅かす海賊版・模倣品対策にとても大切だと私たちは考えます。
記事の内容や著作権についてのご要望ご相談がありましたらお気軽に下記までメールをお送りください。
次号のテーマは「ビデオゲーム」です。お楽しみに。